エピソード③
スノーボードって楽しいですよね。
初めたての頃は何であんなに無我夢中で出来たのか不思議なくらいハマりました。
今は雪山行くより家の中で酒飲んで次の日二日酔いの中迎え酒でグズグズになりたいですね。
あの輝かしい頃の若き後ろ姿が物語る観客達の声援を思い出したお話です。
あの日はスノーボードを始めて1年経った頃でしょうか。
私は暇さえあればスノーボードの日々でした。
その日も後輩と今日も行くかと話しながら仕事を早く終わらせることに命を注いでいました。
その頃の私はグラトリといって、
回ったーり、
飛んだーり、
ラジバンダリィ!
察しの良い方は気づいたかと思いますが、
トークも若干滑らせて行きたいと思います。
若干と滑らせにいってることが重要なポイントです。
山に向かう道中YouTubeでグラトリを見まくってました。
左足左足首左くるぶし左腰左髪…
回れる気しかしません。
そして山に到着、山頂までゴンドラ1発
お待たせ 山
今日の目標は720° 2回転です
360°では足りません。
何回もトライしました。
その度に打ちつける体、めげない心、少し酒が飲みたい、
回りたい一心で少しせりあがってるエセジャンプ台をみつけ、
ここだ!!
思いっきり回りました。
ものすごく廻りました。それはもうエゲツない周りました。
飛んでる最中聞こえたのは、
リフトに乗ってる輩のフォー!!やべえー!
俺を見てくれと思わんばかりの、それはもうGacktの700倍のオーラを出していたと思います。
と思った瞬間、
あ、死ぬ
派手に着地を失敗しました。
左腕が肩から逆関節状態となり
聞こえた歓声が
ゴギッボキッに変わりました
脱臼です。
1発目ってものすごい痛いです。
最初は何が起こってるか分かりません。
痛い、力が入らない、起き上がれない、
それを見たリフトの輩どもが
フォーーーー!!!!ウェーーーーイ!!!
温度差って差が出過ぎると苛立ちに変わるんですね。
やばいどうしよう、さっきまでいた後輩は速さ重視タイプで周りを確認したらいませんでした。
自力で降りるしかない。
そう心に決め、繊細かつ体に負荷がかかることがない木の葉という滑りにシフトチェンジして、ゆっくりと山を降りました。
下に着いたら後輩が
え、なにしたんすか?(笑)
かっこわらいかっことじしてる場合でもなかったので、
外れたの一言
察した後輩
どうするか迷う2人
ここである漫画を思い出します。
範馬刃牙って知ってますか?
人が殴るシーンで何ページも使う贅沢かつ流麗に大胆な闘いを集約した伝説的な漫画です。
あの漫画の一巻に末堂というキャラが肘を垂直にし床を殴ることで脱臼をはめる荒技を思い出したのです。
後輩よ、ちょっと下がってろ、やってみる
今思い出せばそんな感じで言っていたと思いたいですが、実際は
ちょ、あ、やる、
でしょうね、まあ案の定うまく行くわけもなく殴った瞬間激痛が走る。涙を堪えるとともに末堂の凄さを思い知る。
サポートセンターに行き言われたのが
ここでは無理だから病院に行こう。
結果待ったのが2時間。
担架に乗る体勢にもなれず、振られた男が椅子に座り、机を頭だけで支点とする、命名恋時雨の格好で山を降りました。
その時はもうYouTube見てた頃の自分に言ってやりたいですね。
病院につき外れてから約3時間。
うつ伏せにベットに寝させられ、腕がだらんとした状態。
そしたら看護師が外れた方の腕で横に置いてる重りを持って下さい〜
最後伸ばすなよ、ナメくさってんなこいつ
性格すら悪くなる痛みの長さのため、
全てが嫌に感じます。
重り持つだけで治ったら末堂も苦労しねえわ
そんな中持ちました。
聞こえました。 カポ
治りました。
あんなに痛かったのにハマると全く痛く無い。自然に笑みが溢れます。
看護師さんありがとう、もう嫁いでくれ、一生飯食わせるしブランド物も買うし家事するし言うこと一生聞くよ…
脱臼させてはめてあげるのが、好きな男性を落とすテクニックなのかもしれません。
痛みと引き換えに得たのは、脱臼のはめ方、女が男を落とすテクニック、楽しむ前のイメージは程々に。
皆さんも脱臼したら範馬刃牙を見てやろうとせず、すぐ病院に行きましょう。