エピソード⑥
今思えば何でだろってこと、ありますよね。
その当時はそういうものだと受け入れる気持ちがあったこそ、今思えばなんでだろと思う訳で。
私が小学生の頃、友達といつものようにサッカーをして遊んでいました。
ちなみに私のサッカー歴は小学生3年生から6年生までです。
その日集まったのは5、6人だったでしょうか。
夕方近くまで転がるボールを追いかけて、蹴る。
みんなヘトヘトになり、そろそろ帰るかとなった頃
1人の男の子、ムカイ君が言いました。
お腹が痛い
と。
出ちゃう
と。
そう、それはお昼ご飯を食べてから、サッカーによって引き起こされたエマージェンシータイフーンでした。
大丈夫?
みんなが心配する中
近くにいたナオヒロ君が言いました。
俺んち近いからこいよ!
そのナオヒロという男は
俺天気によってキック力変わるんだ!
が口癖で小学生なのに厨二病を患っている子でした。
一癖ありますが、その子は素直な子で、ムカイ君を助けようとする一心で放った言葉に間違いはありません。
そして、ムカイ君はナオヒロ君宅へ向かったのです。
我々も向かいました。
今思えばなぜ皆で向かったのか分かりません。
なんでだろと思いましたが、まだオチません。
到着する一同。
もうお前は誰だと突っ込まれたいのかと思うほどの表情で我慢しているムカイ君。
家の前まで着き、ナオヒロ君が言いました。
おばあちゃんにちょっと言ってくる!!
ナオヒロ君は婆ちゃん子で、お婆ちゃんが大好きです。
私も家にお邪魔したことはありますが、すごく人柄の良いお婆ちゃんで、お婆ちゃん界のウッチャンような人です。
するとナオヒロ君が帰ってきて言いました。
お婆ちゃん、ダメだって!!
え?
まさかでした。
孫の友達が漏らすか否かの葛藤をしている時に、拒否権を使用したのです。
え!?
一同がなんで?と頭がいっぱいになる中、1人の男は極限状態からの裏切りとも思えてしまうそのお婆ちゃん及びナオヒロ君の行動に頭のネジが弾け飛んだのです。
もうダメだあ…
あの時の掠れる声の後に放った、人生で何億回言ってきたであろうあの言葉が出ます。
皆んな、絶対誰にも言わないでよ!
走るムカイ
追う一同
茂みに行くムカイ
追う一同
穴を掘り、かましたのです。
皆んなで誓いました。
絶対に誰にも言わないと。
だから皆さんこのことは誰にも言わないで下さい。
そして、なんでだろ、お婆ちゃん。
なんでだろ、ナオヒロ君。