エピソード⑤
皆さんは恐怖体験ってしたことありますか?
いつもふざけた内容しかあげないので今回はガッツリ恐怖体験を話します。
私の体験ではないですが、これは私が小さい頃に、私の父が体験した背筋が凍るお話です。
私の父は真面目で相手に対して正直な気持ちをぶつけるタイプのアニメメジャーの主人公から男気を引いたような人です。
怒ることもほぼ無く、どこか抜けています。
でもそんな父タケシはある日、いつものようぐっすりと寝ていると家に電話がかかってきました。
夜中の2時です。
その日はリビングのソファーで寝ていたことから電話プルプルで起きたのです。
もしもし
…
どちら様ですか?
…
その電話は無言電話でした。
こんな時間に、とガチャッと電話切りその日は眠りに落ちました。
しかし次の日また電話がかかってきたのです。
寝室にも受話器がある為、また夜中にかかってきたので、またあいつかと出ました。
もしもし?
…
あの、なんでしょうか?
無言電話ですか?
…
まあ無言電話なので無言貫きますよね。
何回も無言電話が続き、父から最近無言電話がくると家族会議にもなりました。家族会議は5年に1回あるかないかです。
結果、もう無視して警察に言うか、タケシの直接相手に喝を入れるかの2択になりました。
一家の主人、100マイルの玉を投げるあの男と同等のストレート人間、家族の思いが更にストレートの思いを速くします。
よし、分かった
あの時のタケシの目は
今から甲子園行く気だな
そう思わせるほど燃えたぎっていたのです。
そして、決戦の夜
夜中に備え、いつもより入念にお風呂で体を洗い、イメトレをするタケシ。
するといつものように電話がかかってきました。
私も他の家族も寝ていました。
これは後日談ですが、タケシは言ってやったのです。
もしもし
…
お前な、良い加減にしろ、
…
どれだけ迷惑かけてると思ってんだ、
お前みたいな人間なあ
クソ人間だあ!!!!!!!!!!
…
ガチャン!!!
タケシはやりました。
ついにあの甲子園で因縁の相手に1発ぶちかましてやったのです。
そして次の日家族に夜の甲子園エピソード8初戦因縁の対決を伝えました。あの時のタケシは茂過ぎた吾郎でした。
次の日
プルプルプルプル
まさか?
プルプルプルプル
おいおい、
まだ終わっていなかったのです
ガチャ、もしもし
…
(こいつ…!)
…
しかし昨日の甲子園で全てを使い切ったタケシはいつもより冷静でした。
耳を澄ますと
ザー…
何かすごく小さな音で砂嵐のような音が鳴っていたのです。
(なんだこれは…?)
もしもし?
…ザー
ガチャ
ふと、タケシ思いました。
次の日、通信業者が家に来たのです。
故障でした。
回線の
故障でした。
ただの故障でした。
あれだけ燃えたぎっていたのに
結果ただの通信異常。
今なら分かります。
笑いながら話す父ですが
あれだけ燃えたぎって、心を鬼にしてまで相手からホームランを打とうと思い、1人の男が決め込んだ一夜の話をただの笑い話で済ませた父の心境。
今考えてもゾッとします。